村上春樹の長編小説には、主人公が「穴」に落ち、「黄泉の国」を巡った後に再び現実へ戻ってくるという構造を持つ作品が少なくない。
心理学者の河合隼雄は、村上春樹との対談の中で、「死後の世界」について想像力を働かせることは、良い死を迎えるための心構えになると語っていた。
内田樹さんのブログでその言葉を読み返しながら、私は最近の体験を思い出していた。
少し大げさかもしれない。しかし、この一か月ほど続いた身体の不調は、やがて歳を重ねていく自分の姿を垣間見せてくれたような気がする。
還暦を迎える直前に、このような経験ができたことは決して悪いことではなかった。
取捨選択について考える機会になったし、自分がこれからどこへ向かうのか、どのように歩んでいくのかを見つめ直すきっかけにもなった。
嘆いているよりも、少し先へ進もう。
これまでやってきたことの統合を目指そう。
そして、今の自分にふさわしい選択を心がけようと思う。

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