朝、34歳になる甥が不要な物を片付けに来てくれた。
甥と話をしていると不思議と元気になる。忘れかけていたものを思い出させてくれるのだ。小さかった頃の彼は本当に可愛らしかった。私に「愛おしい」という感情を教えてくれたのも彼だったように思う。
あの頃の私は何を求めて生きていたのだろうか。
少しそわそわしながら清里フォトアートミュージアムへ向かった。本日は楽しみにしていた「2B Channel × KMoPA」のトークイベントが開催される。
開館30周年を迎えた当館では、「写真の冒険 前衛から未来へ」と題した企画展が開催されており、収蔵作品の中から作家が35歳までに制作した作品が展示されている。
今回のトークイベントでは、初代館長である細江英公氏の歩みや写真集の解説を交えながら、なぜKMoPAが若い世代の作品にこだわり続けてきたのか、その理由が語られた。
新たに館長に就任された瀬戸正人氏、写真家の渡部さとる氏、石井友彦氏による絶妙な掛け合いに加え、主任学芸員の山地裕子先生の分かりやすい解説もあり、「なぜ35歳までの作品なのか」という問いへの理解が深まった。
細江英公氏が残した代表作『鎌鼬』『薔薇刑』『男と女』はいずれも30代の仕事だったという。その創造的なエネルギーの貴重さを知っていたからこそ、細江氏は若い写真家たちの支援に力を注いできたのだろう。
そこで自然と、自分の35歳の頃を振り返っていた。
会社の閉鎖、恋人との別れ、親族との財産分与の問題。当時の私は様々な出来事に翻弄されていた。うつ病の症状が少しずつ和らぎ始めていたのも、その頃だったと思う。
そして、がむしゃらに武道へ打ち込み始めたのも、ちょうどその時期ではなかっただろうか。
振り返れば決して華やかな35歳ではなかった。しかし、人生の底を這いながらも、何とか前へ進もうとしていた時期だったように思う。
トークイベントの中で、「写真家のモチベーションはどこから生まれるのですか」という質問が寄せられた。
それに対し瀬戸館長は、
「以前の作品など興味がない。写真家は絶えず新しいものを見たいのだ」
と答えた。
この言葉には参った。

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