大学拳法部での出来事。
今年度から部を運営する3年生のS君が、「今度の土曜日に大学のWeb部活紹介があるのですが、アルバイトが入るかもしれないので参加できないかもしれません」と話してきた。
私は、「4年生のSさんやTさんに相談してみたらどうだろう」と伝えた。すると、「ああ、そうか」と返事が返ってきた。
「頼むのであれば早めに伝えた方がいいよ。相手にも予定があるからね。」
そんな話を続けながら、「まず目的を決めて、そこから逆算して考えることが大切だよ」と伝えると、彼は「僕はそういう考え方をする人間じゃないから……」と言った。
思わず私は、「今は、自分がどういう人間かを主張する場面ではないよね。やるのか、やらないのか。できないなら代わりの方法はあるのか。そのことを考える場面なんだよ」と少し小言を言ってしまった。
彼を見ていると、少し離れた位置から全体を見渡して考えることが、まだ苦手なのだと感じる。そして、それを説明しようとするうちに、話の焦点がずれてしまうことも少なくない。
もちろん、それも学生だからこそなのだろう。経験は、これから積み重ねていけばいい。
上手な人は、私たちのやり取りの中から、自分に求められている役割を自然に見いだし、それを周囲へ分かりやすく伝えることができる。
武道の修練とは、「私」と「私たち」の関係を身体感覚で学び続ける営みでもあるのではないか。そんなことを考えた。
そのことを、彼に分かる言葉で伝えられない私も、まだまだ修行の途中なのだと思う。

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