東京都美術館で開催されていたミロ展を観に行こうと思っていたが、体調が今ひとつ優れず取りやめにした。疲れが溜まっているのか、不整脈も出ている。
妙にしょっぱいラーメンが食べたくなり、韮崎のバーミヤンへ向かった。その後、気分転換も兼ねて清里フォトミュージアムの開館30周年記念展を観に行ったのだが、これが実に良かった。
前期の『写真と冒険』に続く後期展『写真と肖像』である。前回も見応えがあったが、今回の展示はさらに心に残った。
やはり人の写った写真には特別な力がある。人は風景や物以上に、人そのものに強い関心を抱く存在なのだろう。
肖像写真は単に人物の姿を記録するものではない。そこには被写体の内面が垣間見えるものもあれば、撮影者との関係性が映り込むものもある。また、その時代や社会の空気を映し出すものもある。
展示を見ながら、肖像写真とは自己と他者、社会、そして風景との重層的な関係を写し出す表現なのではないかと考えていた。
なかでも星玄人さんのキャプションにあった「都会の潜在意識」という言葉が深く心に残った。
街に生きる人々の姿には、その人個人だけではなく、その時代の価値観や不安、欲望、希望といった社会の意識が滲み出ている。肖像写真には、そうした目には見えないものを浮かび上がらせる力があるのかもしれない。
空調の効いた静かな展示室で写真を眺めながらあれこれ考えているうちに、少し身体に力が戻ってきたような気がした。
アートには人を立ち止まらせ、自分自身を見つめ直させる力がある。
この夏の間に、もう一度足を運びたいと思う。そしていつの日か、人の内面やその人を取り巻く世界まで写し出せるようなポートレートを撮れる写真家になってみたいと思うのだ。

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