『まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険』展

みなさんこんにちは。南アルプスの深澤です。

渋谷ヒカリエホールで開催されていた写真展『まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険』が閉幕しました。ギリギリにはなりましたが、先日、閉幕を前に私も観に行って参りました。

国際的にも大きな注目を集めている日本の写真表現。その歴史の中で、1950年代から今日まで重要な役割を果たしてきた女性写真家30名の作品を紹介する展覧会です。

会場に添えられた年表は、1926年から2025年まで。その時代に起きた社会的な出来事と写真表現との関わりや対比が、とても興味深く感じられました。

祖父母たちが青春時代を生きた頃から、私自身が還暦を迎えた現在まで。ほぼ100年間の出来事が、写真とともに並んでいるのです。

私が写真の面白さを教えてもらった1990年代、ガーリーフォトブームを牽引していたヒロミックスも、今では50歳のベテラン写真家になっていました。月日が流れるのは、本当に早いものです。

会場を何度も行き来しながら、改めて写真表現の奥深さと、その限りない面白さを楽しみました。

今回の写真展で、私が一番印象に残ったのは、オノデラユキさんの古着を使ったポートレート作品でした。

誰のものだったのかも分からない古着を、アパートの窓から見上げたパリの空と雲を背景に撮影した作品です。

その写真の前に立っていると、かつてその服を着ていたのはどんな人だったのだろう、その人はどんな人生を送ったのだろうかと、古着が持つ記憶を勝手に想像してしまうのです。

日本の屏風絵にも「誰ヶ袖図(たがそでず)」と呼ばれる、衣服だけを描き、そこにはいない人物の気配を感じさせる作品があることを聞いていました。

人そのものを写さず、その人の「不在」によって、かえって見る者の想像力が掻き立てられる。

オノデラユキさんの写真の前で、私はそれと同じような現象に誘われているのではないかと思いました。このような写真を、いつか自分でも撮ってみたいものです。

出口付近には、作家のみな様からのコメントが掲示されていました。

その中の一つ、蜷川実花さんの言葉。

「とにかく撮らずにはいられない。撮ることによって、正常さを保っている気がする」

実にカッコいいではありませんか。

どんな時代においても第一線で活躍し続ける作家の言葉だと感じました。

「撮りたい」ではなく、「撮らずにはいられない」。

ものをつくり出す人が、その奥底に抱えている性(さが)のようなもの。その深さと凄みを感じるのでありました。

良い展示を拝見し、たくさんの刺激を頂いて参りました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました